社会人だった私が学振特別研究員DC1に採択されるまで┃大学院博士後期課程進学に向けた準備

キャリア・進学

博士後期課程に進学する時、多くの方の懸念事項は「お金」ですよね

博士が応募できる奨学金というと、日本学術振興会特別研究員DC(通称「学振」)が思いつく方も多いと思います

社会人から博士に進学を考えている人だと、学振は申請できないだろうと思っていませんか?

実は、(申請時点で)社会人の場合でも学振DC1に申請することができるのです

この記事では、

  • 申請時点で社会人である
  • 博士進学にあたって学振の選択肢も検討したい

という数少ない人に向けて

社会人から学振DC1に第1段階の公表で採択内定した筆者が、いつどんなことをしたか振り返ってみようと思います

リンゴは修士修了後、民間企業在籍中に学振に申請したよ。博士では、修士までとは違う大学院・指導教官のところに進学する予定!

本記事で紹介するのは、私が申請した時の経験なので、申請する皆さんは必ず最新版で確認してくださいね!

学振DC1における社会人の扱いの整理(記事作成時点)

社会人が学振DC1に申請可能かどうかについては、特別研究員のよくある質問のQ&A1-5に学振側の回答が公表されています(https://www.jsps.go.jp/j-pd/pd_qa.html

その要点をまとめると、

  • 採用年度の4月1日現在に在学していれば、申請時での所属・在学の有無は問わない
  • 修士課程で在学していた大学院を通じて申請手続きを行う
  • 評価書は職場の上司または直近の研究指導者(修士の指導教員)に作成してもらう(現在研究職かどうかによる)
  • 特別研究員に採用された場合、採用開始の前日までに退職する必要がある

となっています

社会人が申請する際の難しさ

上記のように申請時に社会人の場合も応募が可能ですが、実際に応募するとなると以下のような難しさがあります

  • 修士の大学院が申請機関となるため、早めの相談と説明が必要となる
  • 申請時点で大学院にいないため、学振に関する情報をくれる仲間や、質問・相談させてもらえる先生や先輩がいない
  • 本業の仕事が忙しいため、申請書作成の時間をなかなか捻出できない
  • 社会人から申請する人の経験談などがなかなか得られない

仲間のいない孤独な闘いだったから、毎度ネット上の情報に助けられた!!

学振の主な申請スケジュール

  • 2月中旬ごろ募集要項公表
  • 4月中旬ごろ申請機関にてID発行
  • 5月学内(申請機関)締切
  • 6月学振締切
  • 10月上旬結果発表(2022年は9月28日)

入学の1年前の春に学振の申請書を提出することになる。大学院の院試よりもずっと早くに準備しないといけないから注意が必要

申請までにやったこと

  • 申請書提出の1年前(5月頃):学振に関する情報収集

まずは、ネットを中心に情報収集をしました

その時点で公表されている募集要項を確認したり、経験者のブログを読むなどしてスケジュール感ややることのイメージをつけていきました

  • 申請書提出の7ヶ月前(10月頃):修士の所属先の先生・担当部署に次の学振に申請したいことを報告

現時点でその大学の学生ではなく、しかも他大学を受け入れ先に予定しているというケースだったので、都合のつくタイミングで早めに大学に行って話をしておきました

  • 申請書提出の半年前(11月頃):志望する研究室を訪問&先生に進学にあたり学振にも出したいと宣言

先生に学振にも挑戦したいと伝えたことで、研究室の中でも学振DC1をとっている先輩と話す機会をもらえました

その後その先輩に、申請書へのアドバイスをもらえたのでとても助かりました

  • 申請書提出の5ヶ月前(12月頃):学振本や収集した資料を参考に中身の検討開始

ネットで調べるうちに大上雅史先生の東京工業大学での学振説明会の資料に出会いました(もちろん無料です!)

制度の内容や書き方のポイント等がわかりやすく詳細に書いてあり、目からウロコでした↓

学振特別研究員になるために~2023年度申請版 (slideshare.net)

これは参考になる!と思い、大上先生の『学振申請書の書き方とコツ 改定第2版』を購入しました

学振の制度的な知識もなく、採用経験者から作成のアドバイスももらうことが難しい状況にあった私は、

この本のおかげで申請書の提出までのイメージができ、書き始めることができました

大上先生の学振本(バイブル)↓

また、知り合いで学振採択された方がいれば、申請書を見せてほしいとお願いするのがいいと思います

私の場合、お願いできた先輩は一人だけでしたが、専門がかなり近い分野だったので内容的にとても参考になりました

他にも、ネット上で公開されている採択された申請書(特に分野は問わず)を集めて、表現の仕方や体裁等を参考にしました

  • 申請書提出の4ヶ月前(1月頃):前の指導教官に4〜5月頃に評価書の作成をしてほしいことを事前に依頼

  • 申請書提出の3ヶ月前(2月頃):学振の要項チェック&とにかく執筆

ちなみに令和5年度採用分からは、2段階の書面審査方式による選考になりました

時折制度変更もあるので、申請する年度の内容をよく確認することが大事です

  • 申請書提出の2ヶ月前(3月頃):先輩や友人などに書けたら見てほしいことを依頼

先方の都合もあるのでおおよそのめどをあらかじめ伝えておくようにしました

先方の都合もあるのでおおよそのめどをあらかじめ伝えておくようにしました

  • 申請書提出の1ヶ月前(4月上旬頃):修士の大学院に申請のためのIDを発行依頼。評価者修士の指導教員)に評価書の作成依頼。受け入れ先の指導教員、先輩や友人にコメントの依頼

評価者(修士の指導教員)に評価書を依頼する時には、同時に最新版のドラフトを送付しました。この時点でしっかりした内容のものを見せられると、指導教員も評価書を書きやすいのではないかなと思います

  • 申請書提出前ラスト2週間(4月下旬~5月上旬):もらったコメントを反映しながら最終仕上げ

電話やテレビ会議などを使って直接コメントをしてくださったのが、とても助かりました

コメントの意図がわかり、改善案もその場で相談したりできたのがよかったと思います

最後のほうは、何度も印刷して読むようにしました(家にプリンターがないからコンビニでめっちゃ課金しました笑)

おわりに

社会人をしていた身からすると正直学振の待遇で生きていけるのか?と思うところもあります

(しかも前年度の所得をもとに税金を払わなければならないので、ストレートで進学してきた人たちよりも厳しい生活になりそうです…)

私の場合は、会社的にも研究内容的にも二足の草鞋が現実的ではなかったこと、自分の研究に対して研究費を得たいという思いから学振に挑戦することにしました

どのような形で研究をしていきたいかは人それぞれだと思うので、検討の参考になれば幸いです!

申請書作成については別記事で書きたいと思います

ではでは!

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